Film : スパイダーマン ホームカミング
ここ最近、ミニシアターでジャック・ドゥミ『ローラ』、アニエス・ヴァルダ『5時から7時までのクレオ』と良き「映画」を観ていたので、『スパイダーマン ホームカミング』ちょっと落差が激しかった。
① 撮影
夜間の撮影、というより照明が酷い。
光源がない=陰影がないため、ノッペリとした絵作り(眠くなる)でどうしたものかと。しかもアクションの半分以上は夜間にあるものだから手に負えない。
② 演出
これはハナからファミリー向けに企画されているからだろうか。誰も死なないし血も出ない。別にそこ自体に文句があるわけではないけどさぁ、そうなってくるとどれだけ派手にアクションが展開されても「生死」に関わらないのだから緊張感が伝わってこなくないか?
25年以上前の『ターミネーター2』だって(最近見直した)ありゃファミリー向けに作られていただろうけど、「生死」には関わっていたぜ、と思う。
しかも、アクションシーンがほんとに断片的で驚く。特に中盤の、敵の一味に追跡装置を付ける→敵のアジトを発見→悪事の場面に出くわす→戦闘開始、の流れで何故か肝心のアクションシーンがほんの数十秒で終わってしまうのだ。
いったい何を「見せたい」のかが本気で分からない。フツーの倉庫に閉じ込められるシーンが見せたかった…の?
あの、映画ってのは、「見せたい」シーンかサスペンスを構築したいという意思がないと絶対面白くならないんだよ。
上記の一連の流れ、全部「説明」のためだけのシーンです。(まぁそんなこと言ったらこの映画のほとんど全てが説明描写になるけど。笑)
その他にも、スパイダーマンが敵の翼男に初めて出くわして上空に抱えあげられるシーンでも、なぜか湖に落とされて終わりなんだよな。笑
結局、「生死」に関わらない(=ファミリー向け)が完全に枷になっているし、製作者側にもそれを補うほどのアイデアがないのです。
脚本通りのまぁ驚きがない映画。
「娯楽映画」のレベル、どんどん下がってないですか。
Fleet Foxes - "Crack-Up"
2000年代は(少なくとも2010年あたりまでは)インディーロック全盛期だった。
あのテイラー・スウィフトだって「With some indie record that's much cooler than mine」と歌っていた。
ところが2010年代になって”ロック”なるものはかなり衰退したと思う。国内では相変わらずグルーブのグの字もない四つ打ちロックバンドが盛んだが、世界ではそうじゃない。
ここ数年でドリームポップの後追い的に、マイブラ、Slowdive、Ride、Lush等シューゲイザーバンドの再結成が相次いでいるが、イマイチ盛り上がりに欠けるわけで。
これは感覚の問題ではなくて実際データにも表れている。
↓
といった現状の中、まさしく00年代のインディーロックブームを牽引した(と、こういうロッキンオン的な言い回しは嫌いだけど…)Fleet Foxesの新譜が6年ぶりに出たのである。
一言でいえばほんとに素晴らしいと思う。
彼らがやらなきゃ誰がやるんだという音楽。ハッと目が覚めるような美しいコーラス、メロディライン、一転して深遠な森に迷い込んでしまったかのようなアンビエントパート。( Third of May / Ōdaigahara)
「Cassius,-」にうっすらバックで流れる蝉の声や水の音。ほんとうに良くできてる。
「ON ANOTHER OCEAN (JANUARY / JUNE)」の転調なんかは美しすぎて涙が出てしまう。
というかこのアルバム通して、”転調”がとてもとても素晴らしい。今回のプログレッシブなアプローチは総じて完璧に成功していると思う。
ただ、ピッチフォーク以外のメディアでは割と評価が高くない。
時代の流れかもしれない。しかし、時代の流れとは別にほんとうに良いものを評価するべきだろう。
Fleet Foxesは世の潮流とは全く別のところで孤高に佇んでいる。
個人的上半期ベストアルバム。
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2017年上半期ベスト映画
次点から(順不同)
・ローガン
照明が良かった、かなり気を使っていたという点で評価したい。ダフネ・キーンが口論した後に家を出て暗がりを歩き、ふと立ち止まって家を見る瞬間に彼女を照らす灯り。
映画なんて「嘘」なんだから、スクリーンの前に仁王立ちするのも全然オッケー。ラストの構図/逆構図のショットも良いやん。
⑥雨の日は会えない、晴れた日は君を想う
カット割りだとかシーン繋ぎだとか音楽/回想の使い方だとか、かなり大胆。
しかし中心には「物を壊す」というシンプルなアクションがあって、ギレンホールが走り出すまでの映画でもある。
⑤午後8時の訪問者
例えば、夜中に自然と目が覚めて窓を開け煙草を燻らす、あの何気ない瞬間こそが映画だな~と思った。
④昼顔
監督・西谷弘の確かな演出手腕を十二分に楽しんだ。序盤の上戸彩と斎藤工の視線が合う/合わない、会える/会えないといったシンプルなサスペンスが映画を駆動させるところなんか素晴らしいよね。
扉を開ける、風が吹く、床が軋み叩かれる、携帯が鳴る、それだけで映画を「映画」たらしめる。
この映画に関しては、何気ない日常のシーンをそのまま撮るのが果たして正解なのかという問題はあるだろうけど、個人的には好きだ。なぜならケイシー・アフレックが大好きだから。
①マリアンヌ
上半期間違いなくベストだったと確信する。
「見る」、「鏡」といった行為が映画に常にサスペンスをもたらすし、荒唐無稽な話運び含め魅力がたくさん詰まった映画。宝石商を追う動線とカメラワークなんかもうね堪らんよね。
ワーストはなんだろうね。別に「メッセージ」でも「バーニング・オーシャン」でも「沈黙」でも何でもいいかな。
2017年上半期ベストアルバム(その②)
前回の続きです。順不同。
Power Trip - Nightmare Logic
<コメント>
死ぬほど痛快でノレる、最高のロックアルバムだと真剣に思う。
とりあえずYoutubeで一曲聴いてほしい。冒頭のザクザク刻む、まるで80年代にタイムスリップしたかのようなリフに驚く。懐古的なスラッシュメタルではなく、ギターのハウリング等々かなり音響に凝っているのが伺えて面白い。シューカツ面接前によく聴きました。
Lorde - Melodrama
<コメント>
最初に聴いた時の感想は「えっこんなに良かったっけ??」いや、以前からLordeは話題だったけど、正直気にかけてなかった。
本作は、素晴らしい、、。特に、バラードが好きだ。Liability、Sober Ⅱといった音数が少なくピアノ、シンセが流れる抒情的なサウンドと、彼女のハスキーな歌声が映える。
Kendrick Lamar - DAMN
<コメント>
AKBの須藤なんとかや小嶋陽菜が好きと公言していたり、関ジャム’でtofubeatsが紹介したりと、日本での知名度も急上昇中で今更何も言うことは無いだろう。
かくいうヒップホップ弱者の自分でも純粋にカッコイイと思えるアルバムだ。前作よりもポップで聴きやすいです。
Fleet Foxes - "Crack Up"
<コメント>
まぁまだあんまり聴き込めてないので、偉そうに何も言えん。
しかし上半期ベストに入ります。
- 以下、次点 -
The Afghan Whigs - In Spades
Teengirl Fantasy - 8AM
Aye Nako - Silver Haze
AIMEE MANN - Mental Illness
Blanck Mass - World Eater
Code Orange - Forever
Shinjin Hawke - First Opus
- 期待外れだったde賞 -
Mastodon - Emperor of Sand
<総括>
上半期良いアルバム多かった!
Slowdiveの新譜は確かに良かったが、ピッチフォークはじめちょっと過大評価だとは個人的に思う。Sugar for the pillなどはほとんどThe xx的な曲で、しかしこの曲が一番いいのはいかがなものか。3rdまでにあった高潔さが恋しい。
ロック界隈で良いのがたくさんあったなぁーと思うけど、Mastodonの新譜はちょっとねぇ…。なんとも惰性で続いている感じが漂う…。
あ、あとJoey Badassのアルバム良かった!次点入りで!
2017年上半期ベストアルバム(その①)
気が付いたら一年も半分過ぎたらしいので、今年上半期のベストアルバムを紹介。
順不同です。
The XX - I See You
<コメント>
前二作よりもポップになったというか、よりソウルフルに、よりエモーショナルになった本作。昨今の時流に乗ったような形だけれども、やはりレベルが高いっすよ。イントロだけで彼らだとわかる。ベースラインがこんなにカッコイイのも久しぶりだ。
Sinai Vessel - Brokenlegged
<コメント>
近年、インディーロック、否「ロック」自体がほぼ絶命している中で、地味に輝きを放っているジャンルが「エモ」だろう。
The Hotelier, PUP, Hop Along, The World Is a Beautiful Place & No Longer afraid to die といった新鋭のバンドから、アメフトの再結成といった出来事まであった。このSinai Vesselもそのエモの一角。モロにアメフトのアノ曲のイントロチックな曲まであったりと、変に捻くれず真っすぐなサウンドが気持ちいい。メロディ◎。
Los Campesinos! - Sick Scenes
<コメント>
このバンドも10年以上やっててメンバーもかなり変わってるんだけれども、一向に良さが失われない。初期のガチャガチャしたサウンド/雰囲気は確かになくなったものの、その騒がしさが整理されて非常に聴かせるサウンドになっている。青春の終わり、と言ったらカッコつけすぎだが、コーラスワーク含め切なさが堪らない。
Sun Kil Moon - Common As Light and Love Are Red Valleys of Blood
<コメント>
これは凄いアルバムだ。収録時間2時間9分。ポストフォークを飛び越えて、ヒップホップに接近している。内容はトランプ大統領を踏まえたアメリカ風刺のようだが、あまりの異色作に音楽メディアでの評価は高くない。(というより、腫れ物に触るように遠ざけられているように感じる。)
ただ、ヒップホップというか言葉を発しているだけのような曲が大半にもかかわらず、Sun Kil Moonの曲とわかるのは何故なのか。時折挟まれる、メロウさがそうさせるのか。”Bergen to Trondheim”などまるでラップバトルをしてるかのような曲調で、”Benji”の頃からは全く想像できなくもはや笑える。今年最大の実験作。
Run The Jewels - Run The Jewels 3
<コメント>
ヒップホップに疎い自分でも十分カッコよく聴けた。I'm Shit, Bitch!
White Reaper - World's Best American Band
<コメント>
実は今期で一番素晴らしいロックアルバムだったんじゃないかと思っている。
アルバムタイトル通り、かなりストレートなロックンロールであることは間違いないものの、シンセが鳴ることでどこかノスタルジックな雰囲気があるのが良い。実はFuture IslandsやThe War On Drugsに近いのかも。
tofubeats - FANTASY CLUB
<コメント>
とうとうピッチフォークでもレビューされたtofubeats氏。(関ジャムなんて地上波の番組にも出ていてその行動範囲の広さにビックリするけど)
The New Year - Snow
<コメント>
これもエモのジャンルに入るとは思うが、もっと細かく言えば”スローコア”とかになるのかなぁ。歪むギターと優しげなギター、穏やかなボーカル。マラカス?、シンセ?あたりも重なり地味ながら豊かなサウンドが魅力的。
今日はここまで書いて疲れたから、続きはまた今度。
Film : クーリンチェ少年殺人事件
Q1 一言でいうと?
A 規格外。光と影の映画。
Q2 4時間は長かった?
A これが意外と長く感じなかった。それはこの映画が「物語」の映画ではないからだろう。例えばトマス・ピンチョン的な、色々進行しているんだけど詰まるところよくわからないといった感覚に近い。
大きな「物語」ではなく、魅力的な(断片的な)シーンの連続だからこそ見るのが苦痛にはならないのだ。映画とはそうあるべきなんだと思う。(何か壮大な物語を語ろうとする現代の思考とは真逆だが)
Q3 一番好きなシーンは?
A まさしく光と闇を象徴するアジトの襲撃シーンか。最初の体育館でのバスケットボールシーンのショットもすごい。暗闇からボールが返って来るシーン。電球が割れる/銃が暴発されるショット。
Q4 似ている作品は?
映画としての出来/格を抜きにすれば、
『インヒアレント・ヴァイス』『3つ数えろ』『ロング・グッドバイ』『パッチギ』
雑記・キーワード
・道具(闇を照らす懐中電灯、蝋燭、割れる電球、記憶としてのラジオ、バスケットボール)
こうすると就活がうまく”いかなく”なるという話
僕は俗にいう”高学歴”の部類にも関わらず、6/6まで内定が一つも出ませんでした。
そうです、就活に失敗したのです。
インフラ(事務系)、メーカー(JT、三菱鉛筆、シマノ等)、IT・通信系とESは20近く出して、面接・リク面に進めたのはなんと7つ程度という。(結局IT系の企業から1つ内定出て終了)周りの友達はみんな内定ガバガバ取ってるのに…
ということで、実体験を踏まえ、こうすると失敗します、という話。しくじり先生的な。
①広く浅く受けてしまう(=大手志向)
僕がまず失敗したなーと思ったのは、いろんな業界をつまみ食いしたこと。もちろん、いろんな業界を見るのは良いことなんだけど、それぞれの業界の大手しか受けてない場合受かるわけがない笑
業界研究も浅くなるし、昨今売り手市場と言っても大手の倍率は相当高いんだよね。それを知らず「どっか受かるやろ」と思ってた自分はほんとバカだった。
どっかしら一つの業界を主軸に据えるべきだったなと。(ただ食品業界に絞るのだけはヤバい。自分の学部上、周りに食品しか受けてない人結構いるけど皆とんでもないことになっている。)
②ESを人に見せずに出しまくる
ESは運ゲーです。めちゃ有能な奴でも、なぜかコロンと落ちたりするようです。
しかし質が良いに越したことはないし、面接はESをもとにするので超大事です。
僕は一応人に見せたんだけど、足りなかった。出来れば何人にも見てもらう必要があったし、それこそシューカツ無双した人とかに見せるべきだったなーと。アピールすべきポイントが実は自分の考えとズレてたりするんで。
特に会社って、頭いいやつよりもとにかく上司の言うことを聞くヤツを欲してるように感じるから、自己PRも協調力とかを推すべきだなーと後から気づいた。手遅れだったけど。
③就活アレルギーを持ち続ける
正直、就活って、相当奇異なイベントでしょ。いや、そう思わないならいいけど。
でも、「あなたの自己PRを教えてください」「はい、私の長所はリーダーシップで~。なぜなら大学のサークルにおいて~」
「あなたを動物に例えると何ですか?」「あなたが弊社に入るメリットって何?」ドアのノックは3回。面接、御社、貴社。グループワーク。
普通の人は、就活を始めて感じるのは「なんだこの茶番…」という感想だと思うが、まぁこの感情をどうやっていち早く無くすかが結構大事だと思う。
思うに面接慣れってのは、「面接で緊張しすぎないようにするため」「自己PRや学生時代頑張ったことなどテンプレ回答を言い慣れるため」とかってよりかは、「面接という儀式になれるため」ではないかと。
難しいんだけど、面接でこう振舞えば気に入ってもらえそうとか、あの独特な空間に溶け込む術を身をもって体感することが重要だと思う。
僕はそれが出来なかったから、1次は通るんだけど、お偉いが出てくる2次で落ちることが多かった。
もちろん、これは自分の体験談であり、こういうことに全く引っかからず内定をバカバカ取ってしまうヤツは一定数いますけどね。
専門性がない(研究が活かせる職種がない)、コミュ力に特に自信ない(人の懐に入るのがうまくない)といった自分は大変なことになりました。