Sentimental Favorite

ブログタイトルは今は亡きOwsleyことWill Owsleyの曲から

Film : 『マンチェスター・バイ・ザ・シー』

//

 

圧倒的な芝居の映画だ。

例えばルーカス・ヘッジズが墓地に行く途中で木の枝を拾い、柵に当てながら歩く。このシーン一つをとっても、わざわざ「枝を拾わせる」という演出がされていることで映画に「驚き」と「彼の子供らしさ」を印象付けている。

こういう何気ないアクションとアイデアの積み重ねが映画なのである。

まぁそんなことは置いといても、とにかくケイシー・アフレックの芝居が素晴らしい。

この人はデヴィッド・ロウリーの『セインツ』でもそうだったが、非常に映画映えするのだ。声も動きも佇まいも。そして全く心理的でない。

本作ではルーカス・ヘッジズをひたすら「待つ」ケイシー・アフレック。この「待つ」時間をしっかり撮っているのは偉いんじゃないでしょうか。

何気ない演出が絶えずあって役者が生き生きとしている。間違いなくハッピーな映画だと思う。

 

※ 重いストーリーとは裏腹にユーモアに溢れている。葬式のシーンをスローモーションで厳かなBGMをかけるのでどうしたものかと思ったが、しっかりギャグのような演出で締めていたので「この監督は信用できる…!」と思ってしまった。リズム音痴のドラマーも良い。

 

※ あと、「気まずさ」の映画でもある。ルーカル・ヘッジズの彼女の母親とケイシーが世間話をするシーン。ルーカスが母親の家を訪ねる食事シーン。しかし、一番気まずくなりそうなルーカスとケイシーの間に「気まずさ」は最初からない。車内においても。